伊勢新聞

2021年11月25日(木)

▼「残念なこと。人間なので間違ったことはあると思うが、それぞれが気を付けながら職務をまっとうしてほしい」。女性は―と言っては性別で言動を決めつけるのかと叱られるが、7月から県公安委員を務める村田典子さんの相次ぐ警察官不祥事に対する発言。物言いが柔らかい

▼駐在所や派出所を視察し、警察官が働きやすい環境などを提案しているという。が、むろん職務の第一は「警察を管理する権限を有し、三重県警察運営の大綱方針を定め、これによる事前事後の監督」をする(県公安委員会HPより)。お客さんではない

▼警察の民主的運営と政治的中立性を確保するため、警察を管理する行政委員会でもあるが、運営は警察組織同様、県民のなじみは薄い。類似の機関として比較的知られているのは教育委員会だが昔、教育長経験者が語っていた

▼事務局の説明に対し、賛成するだけで意見が少ない。事務局も、それを歓迎する―と。いじめに関し、知事主催の県総合教育会議(平成28年)で教育長と教育委員が対立したが、例外的だったか

▼翌29年度から同会議議事録が教委議事録と同様の「概要版」になったのは、やはり対立はまずいと事務局が判断を改めたのかもしれない。教育会議の担当は戦略企画部。悪貨は良貨を駆逐したか

▼公安委員会の議事録ときては、教委も脱帽するほど簡略で議案への委員の発言はまずない。「県民の良識を代表して警察の事務に県民の考えを反映させる役割」と県公安委HP。多くの県民も「足を踏み入れたことのない世界」だけに、村田さんの活躍に期待は募る。