伊勢新聞

2021年11月17日(水)

▼へーぇ、県庁は2カ月以上休職していても勤勉手当が出るんかね―コロナ禍で失職したり、時短に追い込まれた人は、うらやましい思いがしたのではないか。県土整備部所属の34歳の男性主任は、精神疾患と診断されたと上司に虚偽の報告をして9月6日までの76日間欠勤。その間の給与と勤勉手当を受け取っていた

▼どこが〝勤勉〟か理解に苦しむが、公務員の「勤勉手当」は民間における賞与のうちの考課査定分に相当する手当で、期末手当とともに支給され、査定期間は期末手当と同じ。県のホームページにはこの手当の査定基準の説明が見当たらないので大阪府から引用すると「職員の資質、能力及び執務意欲の向上を図ることを目的とした相対評価」に基づき算定するとある

▼県はどんな査定したか、期末手当が支給されていないのはなぜか、疑問は尽きない。本人は県の聞き取りに「仕事がおっくうになっていた」と答えている。虚偽報告については「精神科の受診は抵抗や不安があった」

▼県庁の診療所に精神疾患の相談窓口を設けたのはふた昔ほど前だった。訪れる職員もなく、開店休業状態だったのは「職場に漏れる可能性がある。将来に影響しないか不安」だった

▼男性主任の場合は、虚偽とはいえ「精神疾患」の診断結果を上司に報告している。時代は変わったが、診断に踏み切れなかったのは「抵抗や不安があった」。本当にそうだったらどうしようか、と自分の先行きを案じた、いうことか

▼「正直に休暇を取りたいと言えなかった」とも。こちらは、風通しの問題か。似ている気もする。