▼「生理痛ぐらい我慢しなさい」という人がいる、と本紙『気負わずはじめる性教育―生理はコントロールできる』。口調からすると何となく女性。女性教師か、母親か。個人差が激しいことを物語ってもいる
▼かつて「穢(けが)れ」とされ、隠すべきものとされてきたが、最近はオープンに語る風潮という。コロナ禍による「生活の貧困」がきっかけというが、東京五輪も影響したのではないか。女性アスリートの生理問題の深刻さは指摘されてきた
▼「生理が止まって一人前という指導者が多い時代だった」というのはロス五輪(昭和59年)女子マラソン代表の増田明美さん。それから21年後の名古屋国際マラソン、その2年後の大阪国際の覇者が平成29年、万引で逮捕された。過酷な練習で生理を止め、体重増への恐怖から過食症を繰り返し、ホルモンのバランスを崩した結果の慢性的症状という
▼女子サッカーの試合で、生理用品が外れ、血が流れているのを相手選手に耳打ちされ、試合どころではなくなったという話もあるが、海外では選手同士が気軽に話し合い、文化の違いを感じたという。アスリートの生理に医学的な対応が取られるようになって「生理の貧困」が浮上してきた
▼本紙の『気負わず―』は激痛緩和策が主だが「経済的負担」の解消も呼び掛ける。こちらも、海外では公衆トイレなどに生理用品が普通に置かれている例が多いとされ、鈴鹿市、伊勢市などが着手した
▼県に動きがないという議会の指摘に「解決を目指す」「それぞれの部署でしっかり検討する」と答えた知事は退陣した。これも、なかったことになるのかもしれない。