伊勢新聞

2021年11月5日(金)

▼「気象病」の人が増加傾向という。気圧の変化によって頭痛などの体調不良が現れるとして最近話題になる症状だが、カッコ付きで扱われるのは、一つには世間でまだ認知されているとは言えないこともあるのだろう。かつてはメニエル病と診断されていた

▼天地が逆転する、ぐるぐる回るなどは、かつて北川正恭元知事が衆院議員時代に語った症状で、耳の中の三半規管の異常と見られていたが、気象病も三半規管の鋭敏さが原因という。雨を予測するなど、気候の変化を体調の悪化で知ると内科・神経内科クリニックの久手堅司院長が本紙で語っているが、交通事故の後遺症でも似た症状を聞く

▼気圧が原因としても、そこに至る過程はさまざまということだろう。その一つとして、同院長はパソコンやスマートフォンの使用時間をあげた。視覚への悪影響は古くから指摘されていたが、最近は「スマホ脳」として、子どもの脳の発達を阻害するとされ、同名の書籍は世界でベストセラーになった

▼読書力の低下を招いているともされるが、スマホの普及に貢献した第一人者、スティーブ・ジョブズが我が子にスマホなどを触らせなかったという説は、ちょっと衝撃的である。そして「気象病」も、という

▼コロナ禍をきっかけに県でもオンライン授業が加速されている。県教委は全小中で来年から学力調査「みえスタディ・チェック」をタブレット端末で行うと発表した。肝心の学力向上と逆行する素地にならぬか

▼東京・町田市の小6女児は学校配布のタブレットを使ったいじめで自殺した。慎重でなければならない。