伊勢新聞

2021年11月2日(火)

▼ほう、これがそうかい、と思わず言いたくなった衆院選結果である。先の知事選で、自民党と候補者の相乗りを決めた立憲民主党の芝博一県連代表は「適当な候補者がいれば、との思いもあった」とし「衆院選に全力投球する」。県政への思いが二の次かのような印象の党へ、県民は貴重な一票を投じる気になるだろうか

▼県内政治家随一の〝アジテーター(扇動者)〟の評判があった北川正恭氏は当時の二大政党、自民、社会両党支援候補者を相手に知事選に出て「義を見てせざるは勇なきなり」と絶叫した。巻き起こした熱狂を感じる選挙はとんとご無沙汰で、今回衆院選も県内投票率は過去最低だった

▼低落傾向に歯止めがかからないのはなぜか。「論戦を盛り上げて」と論説、論客は説くが、「熟議」「丁寧な説明」は空虚なものだった。岸田文雄首相は自民党総裁選の前と突入、勝利後で、言うことがコロコロ変わった。選挙になると「バラマキ合戦」になるのは誰もが知っている

▼選挙に代わって国民が国策への影響力に手応えを感じているのは「保育園落ちた、日本死ね」に代表されるネット世論だろう。「ME TOO」は世界の認識を変えた。問題点を具体的に明記して仲間を募る方法は、ネットの普及で格段に力をつけた

▼クロースワードパズルに挑み「投票したい候補者がいない時の投票先の選び方」の設問に手が止まった。報道や演説、選挙公報など、次々に浮かぶ言葉はうまくはまらない。別のタテ、ヨコのマス目を埋めていって、浮かび上がったのが「ショウキョホウ」

▼しばし、目を奪われた。