▼民間からの公募で採用したデジタル社会推進局の最高デジタル責任者(CDO)から同局長職兼務を解くことについて、議会常任委員会で「年度途中で違和感」の声が上がり、県OBでもある舟橋裕幸委員が「県庁のルールから言えば影響力が間違いなく落ちる」
▼県の裏も表も知り尽くした同委員の率直な指摘だろう。これに対し、高間伸夫総務部長の「CDOは専門的見地から指導や助言し、局長は具体的に事業を進行する役割。マネジメント部分を外すことで、よりDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する」という答弁は、年度当初はもちろん、前知事が辞職するまでは決して口にはしなかった内容に違いない
▼上を見て、周りを見て手のひらを返すのは県の常。「違和感」「影響力低下」の質問に答えるわけでなく、「DX推進のため」という県の事情を説明するのも、県のルールを優先させたということだろう
▼デジタル社会への方向性を示す「みえDXビジョン」(仮称)を年内に策定する方針。議会からの注文も多い中で、民間出身CDOのマネジメント能力に不安があったか。何よりも、解いた局長職の後任が、国体・全国障害者スポーツ大会局の副局長を充てる調整
▼大所帯で出発し、年度途中に終戦処理機構となってしまった同スポーツ大会局員を有効活用するにもってこいの起用。組織の円滑な運営を最優先する総務部が考えそうなことである
▼「DX推進のため」という説明も、その意味で虚偽とは言えなくもないが、最優先に早くも影が差してきたことは舟橋委員指摘の通りだろう。