2021年10月24日(日)

▼三重県知事交代後、県の議会答弁に、ない袖は振れない式がめっきり増えてきた。昨年12月に売却方針が示された「県立ゆめドームうえの」の売却先が決まった。売却を議会で言い出してから二転三転して結局、指定管理者活用に落ち着いた県営サンアリーナに比べると、すんなりと運んだようだ

▼サンアリーナは世界祝祭博覧会(平成6年)の主会場で運営主体は県教委。国際会議の誘致など、地域活性化の拠点として運用する構想のもとにスタートした。売却話が常任委で出た時はOBがまなじりを決して憤りをあらわにした。対して、県立ゆめドームうえのは上野新都市事業の中核施設として地元の望む施設を県が贈る感覚。事業主体は地域振興部で、施設を活用するつもりはなかった

▼運営負担を市に押しつけるのかという議会の反発で県営になったものの、具体策としては県が基金を積み、その利子で運転資金を生み出すという高度成長期に見られた安易な方法で、その終わりとともに行き詰まった

▼長く市が指定管理者となっていたが、平成28年の包括監査報告で施設の老朽化や不整備、随意契約の横行などが指摘され、県は「指摘を受けた箇所は修繕」。翌年からの指定管理者の変更で改善を期待したふしもあるが、そうは問屋が卸さなかったようだ

▼購入希望企業も、結果は1社だけで随意契約。議会は住民との間の行き違いや形態の維持などの注文をつけたが、さてどうなりますことか

▼県の的外れな指摘が健全運営に支障になるとは民間の指定管理者の話。買い戻す特約を検討しても、ない袖は振れまい。