▼全国のいじめ件数は9万件の減少で、コロナ禍での一斉休校などの影響が指摘されているというのに、同じ条件の県内公立学校の場合、いじめが前年度比319件(9・2%)増の3764件。現行の定義で調査している平成26年度以降最多だった。県教委は「アンケートの質問項目を見直すなどした結果」
▼2年連続で増加して最多記録も更新した昨年度、県教委は「全国と比べて認知件数が少ない」としてアンケートの見直しを語っていた。その成果があったということか。生命身体に大きな危険が生じる恐れがある「重大事態」は2件増だったから、活用の方はどうだったか
▼一番多いのが「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」で毎年変わらない。「重大事態」に結びつきやすい「パソコンや携帯電話などで誹謗(ひぼう)中傷や嫌なことをされる」は前年度比99件増。全校種で増え、構成比も6番目から5番目へ。小学校、高校で増加率は高い
▼歯止めが利かないか、早期発見の成果か。2番目は「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」。1番目の「冷やかしやからかい」との違いがよく分からないが、3番目の「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」となるといじめは明確。一連の流れで捕らえられなくもない
▼県教委は「いじめを早期に発見し、重大事態に至らないよう対応したい」。早期発見は「重大事態」を指すのだろうが、いじめの早期、芽生えのうちに摘むことが重要であることも、言うまでもない。