2021年10月13日(水)

▼テレビのミステリードラマで警察官の犯罪はすっかりおなじみになっている。いわゆる組織的犯罪は警察に限るまいが、現場の刑事や巡査の犯罪は、ドン伝返しの定番。まさか、という視聴者の意外感を前提にし、信頼を逆手に取った手法といえようか

▼女性問題や横領など、不祥事の多い三重県警でも、空き巣の常習者というのは異例なのではないか。出来心の域を逸脱している。住宅やタクシー会社営業所などに侵入して窃盗などの罪に問われた四日市西署の24歳の元巡査に、津地裁は懲役4年の刑を言い渡した

▼「約1カ月間に3件の窃盗既遂を含む6件の犯行に及んでおり、常習的犯行」であり、2カ月間で高級腕時計や現金など計約1170万円相当を盗んだ。刑事として捜査した住宅などを狙ったというからドラマ顔負けで、判決は「職務上得た知識や経験を悪用し、器具を利用したり、力ずくで窓を壊したりするなどして侵入しており、悪質な犯行」と糾弾している

▼稚拙であることもまた、違いあるまい。捜査した住宅に侵入するなどいかにも安易で、盗んだ腕時計の2本とも、被害者が購入した店に売却している。悪質とはいえ、間抜けな気がする。犯罪に走る警察官の特徴について以前聞いたことがある。犯罪捜査を続けていると、犯罪者がバカに見えてくるそうだ

▼こうすれば捕まることもないのにと思い、自分ならへまはしないと思い込む。結果は、小さな穴だけ繕って大きな部分が抜けるという。窃盗警察官も、知識として刻まれた手口をまねたのだろう

▼何事も生兵法は大けがの元である。