2021年10月7日(木)

▼岸田内閣の支持率が共同通信世論調査で55%。発足時の菅内閣が66・4%の高率だったほどではないが、それでも菅内閣の最後の30・1%から20%以上上昇させたのは、やはり目先を変えるだけで期待感は得られるものらしい

▼それでも菅内閣の最初はほとんどの世論調査が60%、70%超え。岸田内閣は50%以下が多い。「苦労人」とか「令和おじさん」などの虚構の人気にまとわれていない岸田文雄首相の場合は、実像が反映されていると言えようか

▼現金授受疑惑で経済再生担当相を辞任した甘利明氏の自民党幹事長就任は驚いた。岸田首相も〝選挙の顔〟という役割を半ば放棄したのかもしれない。「交渉力や集約力」に期待すると言う一方、「さらに国民の皆さんから疑問があったならばご本人がしっかり丁寧に説明をしていく姿勢が大事だ」。任命責任を棚に上げて、突き放した言い方だ

▼逮捕されたのが秘書か本人かの違いがあるが、平成9年の第2次橋本内閣は、ロッキード事件で有罪が確定した佐藤孝行を中曽根康弘元首相の押しで入閣させたが、国民の批判は激しく、12日間で辞任に追い込まれた

▼それ以前の平成3年に自民党の三役、総務会長に就任している。梶山静六幹事長と話す映像をテレビ朝日報道局長が「悪代官と悪徳商人」に仕立てて繰り返し放送。野党転落の一因になった

▼復権後の自民党に激しく攻撃されてテレビが政治にそんたくするようになるきっかけ。安倍晋三元首相がすぐ「印象操作」と口にするのも、この時の影響だろう。国民も報道も、政治に厳しく向き合っていた時代だ。