伊勢新聞

2021年10月1日(金)

▼自民党総裁選の結果について、立憲民主党の岡田克也元副総理が「河野(太郎)さんだと思っていたが、意外だった」。本当かどうか。報道などでは、当初から岸田文雄前政調会長本命説がもっぱら。世論調査でどんなに河野行政改革担当相が他を圧しようが、岸田前政調会長は高市早苗前総務相の後塵を拝しようが、変わらなかった

▼筋書きはこうだ。第1回投票で過半数を取る候補者はいないから決戦投票になる。高市前総務相を支援する安倍晋三元首相の意向で、高市票は岸田前政調会長に流れる―。実際の経緯は、高市前総務相の善戦で臆測こそ乱れ飛んだが、勝ち馬に乗る流れも手伝って、結果は筋書き通りだった

▼河野総裁誕生という岡田氏の読みはどこまでが本音か。岸田総裁への流れには〝無難〟という見方のほかに、タカ派とハト派が交互にリーダーとなる自民党伝統の振り子の論理の指摘もある。近づく衆院選を前に、菅義偉首相なら戦いやすかったとする野党は、政策に類似点の多い岸田首相の登場で戸惑いも見られるという

▼立民県連の芝博一代表の「改革はできないと国民はあきれているのではないか」とコメントした。岡田氏は「民主主義の危機を変えて」と期待し「非常にオーソドックスな正統派」と評価もした

▼県をはじめ37都道府県の党員・党友票で最多を獲得した河野氏を事実上、国会議員票で覆した。どちらの見方が県民によりしっくりくるかは、おのずと明らかなのではないか

▼対立軸があいまい。不人気の菅首相にもかかわらず野党の支持率は伸びなかった。分かる気がする。