▼サッカー女子のプレナスなでしこリーグ1部で、伊賀市拠点の伊賀FCくノ一三重が優勝を決め、新生なでしこリーグの初代女王の座を確実にした。女子初のプロリーグ「WEリーグ」の発足で旧なでしこリーグの大方が抜けたとはいえ、順当に優勝したことを喜びたい
▼昨年は、WEリーグへの選考に漏れ、同リーグでの活動を目指し有力選手も退団。モチベーション的にはつらい年になった。結果的には、そんな逆境が選手の結束力を強めた気がしなくはない
▼ワールドカップ優勝で一気に盛り上がった女子サッカー人気だが、プロリーグ誕生とは裏腹に観客動員数では厳しさを増している。東京五輪でも、予選リーグのもたつきや、決勝リーグでの初戦敗退など、人気復活につながる戦いにはならなかった。世界全体のレベルアップが原因にあげられたが、技術的には進化を続けているなでしこの敗因としてはピンとこなかった
▼ロンドン五輪時の主将、宮間あや選手が「サッカーは失敗するスポーツ」と語っていた。チームメートが失敗するのを当然とみなしていたということだろう。下手な選手に無意識にボールを回さなくなる団体球技で、この認識は珍しい。失敗することを見越して動くということであり、例えば仲間の失敗を失敗にしなくなることも意味する
▼当時のチームが今と比べ格段に優れていたのは失敗をも当然とする仲間への信頼、結束力ではないか。信頼を裏切れないという研さんとも表裏の関係にある。WEリーグ参加へ、伊賀FCには険しい壁があるが、意気込みは参加チーム以上と信じたい。