伊勢新聞

2021年9月22日(水)

▼緊急事態宣言のさなか、県立学校部活動の原則休止を求めてきた県教委は、13日から制限付きでの活動再開を認めていたという。一部の競技で、生徒の進路にもつながる大会の開催が迫っていることにも配慮。「大切な子どもたちの大会が開催できなくなる可能性がある」

▼県教委のスポーツへの理解も向上した。五輪候補選手らの合宿に招かれた新任教諭に「あなたの人生にとって何が大切か、よく考えなさい」と説諭して断念させたり、国際的登山チームへ参加するための有休を認めなかった古い記憶が残る老記者には隔世の感だが、思えば変化の兆しは、国体の最下位が続き、議会の非難で競技力向上チームを発足させた昭和60年代か

▼その後生涯スポーツへかじを切るなど、国の施策や県の都合で曲折はあったが、とこわか国体誘致で再び競技力向上が中央に躍り出た。規則違反の越境入学の多発について「教職員にも責任はあるが、確認していなかった県教委に重い責任がある」と焦点を拡散し、どちらの責任もあいまいにしてしまったが、背景に、国体に備えて強化要請していた手前がある、と言われた

▼その後、別の規則を作って正当化したのも周知の通り。対象のスポーツとして名乗りをあげていない野球を加えたが、今回の「大切な大会」というのも秋季東海地区高校野球大会がその肝らしい。緊急事態宣言下の今月末開幕で、閉鎖中の県営や市営の球場に代わり、各校グラウンドを借りる方針

▼さすがに県教委は抜け穴、というか、たくさんの引き出しを持っている。変わらないなあという気もする。