▼再生エネルギー促進で、国はこのところ風力発電については山地を切り開く定置型から洋上型へシフトしてきているようだが、南勢・志摩9市町40万人へ水道水を供給する南勢水道の水源、松阪市飯高町森の蓮ダムを中心とした山地に最大60基の風車を設置する計画が始動していた
▼同市の竹上真人市長は10日の市議会の答弁で知事への市長意見を提出していることを明らかにし、科学的根拠に基づいた調査と住民合意を求めたという。「中立の立場」とした答弁はいささか心もとないが、計画する企業が先に同市飯南町、白猪山周辺で風車8基を企画した際は「住民合意が得られているといえない状況」と知事に伝え、計画内の市有地も譲渡せず、結果的に棚上げ状態にしている
▼一度頓挫したかに見えた計画を位置をずらして大規模に復活させる業者のたくましさに驚く。8月の同市環境影響評価委員会に出席した業者の説明は、しかも、過去の体験を生かしたとは言えない内容だったらしい
▼同委の朴恵淑会長(三重大特命副学長)は「地球温暖化防止のため環境と経済をどう持続可能につくるか重い問題」。対して業者は「風車は尾根に近く、可能な限り住居区域から遠く」。住居地区から近いので8基だったが、遠いから60基と言っているようだ
▼ブラジル、コンゴなどの森林伐採の論理に似て、地球温暖化や、それに伴うとされる近年の大災害続発などへの恐れなどないのだろう。先の熱海市の土石流は住宅開発の影響が指摘されている。住居区域本位の考えが環境保全を忘れさせることは言うまでもない。