▼緊急事態宣言に伴う休業要請や営業時短要請に応じていない30店舗に、県は新型コロナ対応の特措法に基づく「個別要請」をしたが、店名については「客が殺到する可能性がある」として公表しない
▼そのことに異論があるわけではないが、昨年4月の緊急事態宣言の時は「協力店全店の公表」を掲げながら特に発表もないまま、実行されなかった。「逆に協力金を受けてない店舗も明らかになって、緊急事態宣言下で開いていたとか誤解を招き、風評被害になってしまうことも考えた」と鈴木英敬知事
▼また、クラスター(感染者集団)発生の店舗は公表と緊急警戒宣言の呼び掛けにも記し、知事も当然の口ぶりだったが、こちらも実行されていない。朝令暮改というか前言のなし崩し的撤回というか、今度は新しく「客が殺到する可能性がある」という理屈
▼いつも県民性善説を失策の言い訳にする県が、性悪説に基づくのは進歩かもしれないが、こうネコの目のように変わっては、県民からの信頼性などは薄れていくのではないか。2、3年前の外部監査報告が、県の脱法行為について厳しく指摘していた
▼規則が施策執行の妨げになるとみれば別にルールを作って〝合法〟を装い、先の規則を破っていくというのである。法の抜け穴をくぐる卓越さとは、また別の〝裏技〟ということだろう。新型コロナの感染者が百人単位となり、死者も増えるにつれて公表内容がおざなりになる気がするが、職員定数削減のあおりもあるか
▼弱点や見過ごされてきた欠陥を浮き彫りにするのがコロナ禍だが、県政も例外ではない。