▼「菅義偉首相は大丈夫か」と言ったのは共産党の小池晃書記局長という。広島市の平和記念式典であいさつの一部を読み飛ばした4日後のユーチューブ番組で「説明できない。自分の言葉で語れない。原稿も読めない」と酷評して、そう言ったが、与党内からも声はあがっていたらしい
▼核兵器のない世界をめざすという肝の部分を飛ばしたのだから救いはない。翌日の長崎の式典は遅刻した。22日の横浜市長選は異常だった。ハタを振ってきた統合型リゾート(IR)の誘致中止を公約にした前国家公安委員長への全面支援を公言し、官房副長官や首相秘書官を投じた。極めつけはこの数日間の自民党総裁選、衆議院解散日程を巡る個党個略と言われた日程の日替わり変更である
▼その退陣表明を受けて、鈴木英敬知事は「いろんな思いの中での決断だったと拝察する。まさにこれからという時で、おつらい思いもあろうかと思う」。感じるところはあるということか。安倍晋三前首相辞任表明時の言葉を詰まらせることはなかったというのは、前現首相との距離の違いだろうが、今後のトレンドが気になり、それどころではないという思いもあったか
▼ワクチン接種へ「アクセルをぐっと踏み込んだ」ことを功績にあげたが、そうせざるを得なかった側面はあろう。半面「もう少し喜怒哀楽があったら良かったのでは」。批判に血相変えて怒り出すのも困るが、次期首相について「知見が深くなくても強い思いを持ち、地方の目線を取り入れた政策を展開できるリーダー」
▼はからずも自身を語っているようではある。