▼アフガニスタンならぬ昭和30年から20年続いたベトナム戦争が圧倒的兵力の米軍の敗北に終わった時、原因を探るさまざまな論考の中で、米兵の士気をあげる説があった
▼空爆のたびベトナムの市民はクモの子を散らすように逃げる。爆撃機が遠ざかるとすぐ現れて、何事もなかったように中断した仕事に戻る。爆弾の雨を降らせた米兵の方が、効果に懐疑的になり、神経が参っていったというのだ
▼緊急警戒宣言からまん延防止等重点措置。ついに緊急事態宣言の発令へ。「ねじ伏せる」と言った鈴木英敬知事の思惑は空振りし、「ピークを乗り越える」ことも失敗。今度は「爆発的感染を食い止めたい」
▼飲食店の休業要請、大規模商業施設への出入り制限など、知事自身が効果に懐疑的だった施策を強行し、午後8時以降の外出自粛も。自宅療養中の男性の死亡については「保健所の業務がひっ迫する中で起こった」としながらも「感染者へのファーストコンタクトをいかに早くするかが大事」。さらにひっ迫させると言っているようでもある
▼戦争に例えられる新型コロナとの戦いだが、米軍方式で突進しようとしているかのよう。勝っているか負けているか、はっきりしないのは苦手と言われる米国民だが、日本人も人後に落ちない。2年続くウイルスの戦いに、かわす、そらすなどして日常性、すなわち新しい生活を確保することなどは考えもしないのだろう
▼中止したとこわか国体・大会の今後について「退職日が決まっている人間が最終決断するのは適切ではない」。いや同感。6年先のことに限らず―。