▼新型コロナの新規感染者が400人に迫る勢いに鈴木英敬知事も慌てたか。アストラゼネカ社製ワクチンの接種センターを三重大に設置する
▼県独自の大規模接種会場を7月末に閉鎖した直後の8月3日、前葉泰幸津市長は再開設を要請した。ワクチン供給が遅れ、目標の接種数が達成できないためだが、2週間後の開設に一周遅れの拡大防止策を象徴している感がある
▼1回目の接種が9月で、2回目が11月という間隔は、ワクチン供給体制の不安と関係するのかどうか。四日市市などで再予約受け付け開始後、ネットも電話もつながらず、市民のいらだちが募った
▼ワクチン効果を説いて鈴木知事は「効果を見極めてぜひ接種してほしい」と呼びかけたが、一方で「効果や副反応について理解し、納得した上で接種してほしい」。見極め、理解するにはどうしたらいいのか。自己責任でと言っているようでもある
▼断定することもある。1000人を超えた入院調整中感染者について「広域的に実施しているため問題ない」。軽症から一転する新型コロナを相手に、この自信はどこからくるのか。「自宅療養者が安心して療養できる」とするパルスオキシメーター(血中酸素濃度測定器)を1850個から倍増する。調整患者が3倍になると示唆したと言えなくもない
▼メーターで異常値が出ても、連絡先と医療提供が一体でなければ安心できない。「ピークを乗り切ろう」と知事はあおる。ピークはより高くなり、次々押し寄せ県民を疲労させる。自宅療養者への医療体制をどう築くかが、コロナ禍後の新しい生活である。