伊勢新聞

2021年8月18日(水)

▼4月のまん延防止等重点措置期間中、津市内の住宅団地を通ったら肉を焼くいい臭い。狭い庭先で家族がバーベキューを楽しんでいる

▼屋外のバーベキューでクラスター(感染者集団)が発生したのは昨年8月。その後も単発で続いたが、いずれも複数での食事会。息抜きの庭先のバーベキューぐらいはとほほえましく通り過ぎたが、正解だったかどうか

▼一日当たり感染者が六日連続百人を超えた16日、鈴木英敬知事は感染者の行動歴について「県内への帰省や友人とのバーベキューなどが散見される」。知事が最初に示した感染者の類型は「外国人」だった。次いで「家族」「県外由来」。「散見」の意味は分からぬがバーベキューと帰省者が加わった

▼県の対策本部が「細かい状況を精査できていない」として行動歴の詳細を明らかにしない中で、知事だけが小出しにする。一般的には、小出しは疑惑を増大させる。不安も増大していこう

▼入院調整中の感染者も六日連続で過去最多を記録して前日比70人増の812人。自宅療養対策は昨年12月の新型コロナウイルス感染症対策協議会でも指摘されていたが、知事はこの11日「自宅療養を基本とすることなく、症状に応じた対応を図る」。担当者も「新たな病床の確保を急ぎたい」。自宅療養者のケア体制は考えていないということだろう

▼末松則子鈴鹿市長が三重とこわか国体の開催について踏み込んだ判断を求め「ワクチン接種ができていない子どもたちの健康、安全をどう担保していくのか」。開催の是非はともかく、今の県民の不安を代弁している。