▼東京五輪の開催は、外部から遮断して内部をバブル(泡)で包み込む方式では新型コロナウイルス感染症を封じ込むことができないことを教えてくれた。ほころびがあったかどうかの問題ではない。結果として感染爆発といえる第5波を国中に巻き起こした
▼「テレビ等で観戦をしてほしい」と菅義偉首相は国民に呼び掛けた。会場の熱気はテレビ等を通じて全国に広がり、無観客の効果の一つを確実に台無しにした。仮想と現実社会の融合は、現場の興奮もまた、瞬時に世界に伝える。首相の呼び掛けは、現実の対策に特化して、感情が行動に及ぼす影響を度外視し、自粛頼りの対策を無力にしたと言えなくはない
▼県も、三重とこわか国体を無観客で開催する方向という。東京五輪や全国高校総体を成功例と見て、選手や大会関係者の感染症対策を徹底しさえすれば可能と判断しているらしい。バブル方式をより強化するということだろう
▼五輪と感染爆発が重なったことは気にしないのだろう。「オリンピックが開かれているのだから」と、一人一人がほんの少しずつ開放感を味わい。それに伴う行動につながった。県も仲間入りするということでもあろう。五輪などの背後には国や県などの方針、自粛要請で開催ができなくなったケースがその数倍、数十倍ある。その説明も国同様、頬かぶりしていくのだろうか
▼無観客を厳密に進めるほど、なぜ開くかの疑問も大きくなる。感染者は15日、150人を超えた。さらに感染力の強い変異株の出現も否定できない。どう開くかだけの説明で県民の共感は得られるか。