▼緊急警戒宣言を発令するにあたり、鈴木英敬三重県知事は緊急的な対応として、新型コロナウイルス感染者用に重症者用を含め新たに56病床を確保するとし「自宅療養を基本とすることなく、症状に応じた対応を図る」
▼3日連続過去最多を記録した14日、県の担当者は多くが自宅待機状態として「本来はすぐにでも入院してもらいたい」「さらなる感染拡大時に備えて一定の病床を空けておく必要がある。新たな病床の確保を急ぎたい」。自宅待機はすでに基本になりつつあるということだろう。知事と担当者の温度差も目立ってきた
▼56病床確保にどれだけ成算があるか。第4波で病床使用率が危機水準を超えた時は、感染症対策本部員会議で報告された新規病床確保数は数床だった。感染の恐れで、治療や病床提供に協力する医療機関も少なくないことを、県医師会会報で嘆いている医師もいた
▼4日、女子高校生に痴漢行為をしたとして、県は23歳の男性職員を停職処分にした。「不祥事の再発防止に取り組んでいることが、職員に対して十分に伝わっていなかった」という行財政改革推進課の釈明には恐れ入ったが同じころ、盗撮目的で住居侵入を繰り返して逮捕された県立病院医師に特に処分の発表はない。人事も別ということかもしれない
▼―閑話休題。県は県立4病院のうち1病院を地方独立行政法人に、もう一病院を指定管理者に委託している。県が医療行政で判断できる余地は少ない。56病床が可能な数字か、県庁を去るまでのとりあえずか、余計なことを考えなければならない季節である。