伊勢新聞

2021年8月12日(木)

▼テレビ朝日の五輪番組スタッフ10人が「打ち上げ」の宴会をし、うち1人が2階の窓から転落し緊急搬送された。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は9日、銀座を散策した。ジョージアの銀メダリスト2人の外出に、東京五輪・パラリンピック組織委「目に余る事案だ」として参加資格停止の処分にしたことが大会の緊張感を表しているとは言い難い

▼だから、というわけでもないが、鈴鹿市の医療機関が新型コロナワクチンを保管する冷蔵庫を開けっ放しにして、102回分(17瓶)を無駄にした。四日市市などのワクチン接種予約が再開したばかり。爆発的感染増を受けて電話もネットも接続困難

▼「仕事で動かざるを得ない現役世代を後回しにしておいて、この仕打ちは何だ」と、いらだちを募らせる向きも少なくない。ワクチン破棄がそんな神経にどう作用するか。接種する側とされる側で緊張感に差もあろう。焦燥感をどこまで感じているか

▼三重とこわか国体・大会について鈴木英敬知事が「絶対中止という状況ではない。むしろ一定開催はできるのではないか」。それならそうでどんな準備をしてきたかというと、観客受け入れに「厳しい精査が必要」。これからということだろう

▼「厳しい措置を取る」と言いながら「直ちに措置を講じる状況ではない」と一日延ばしにして第5波と認めるまでに追い込まれた。繰り返された過去がよみがえる。何とかなるさと思っているわけではむろんなかろうが、「楽観主義」という知事の信条が危機に現実に直面した指導者の資質としてやはり気になる。