▼人気テレビ番組『徹子の部屋』の9日は女優の吉行和子さんがゲストで、2人はこの日が誕生日。黒柳徹子さんが「長崎に原爆が落ちた日で、誕生日パーティーなんかやったことはないし、あまり大騒ぎはできないんだけど」
▼東京五輪が閉幕した。今回ほど、考えさせられた五輪はなかったのではないか。開幕前、「日本の方は五輪が始まれば歓迎してくれる」と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は語った。その通りに進んだ。一方で選手らへの中傷も会員制交流サイト(SNS)を通じて多かった。少数派に追い込まれた反対派が、やり場のないいらだちを注目選手らに向けた側面も否定できない
▼開催の賛否とアスリートへの応援は別と割り切る人や、高額な放映権料を支払ったこともあって各局とも充実させた五輪報道で、なじみのなかった種目への魅力を知り、また見知らぬ国の選手の活躍に視野が広がる思いをした人もいたに違いない
▼メダル獲得選手のあふれる笑顔と、過去最多を更新し続ける新型コロナ感染報道が連日、翌日の紙面で双璧をなしていることに、複雑な思いを抱く人も少なくなかったのではないか。二者択一の調査では表し尽くせない国民感情が出口を求めてうごめく
▼「平和の祭典」であったが、平和への貢献度はかつてないほど低かったのではないか。スポーツは世界の人々を一つにする力があるとしても分断に強く働いたことも印象づけた。役員らとの待遇格差も表面化した
▼五輪の今後に影響を与える大会だろう。その行方は開催国の一員として見守っていく責任はある。