2021年7月31日(土)

▼検察は「共犯者に虚偽の見積書を準備させるなどし、詐取金の大半を得ており、主犯的立場で、責任は最も重い」と断じた

▼補助金をだまし取ったとして詐欺罪に問われた津市の元自治会長の裁判。ごもっとも。詐取金の大半を得ていたろうし、主犯〝的〟立場というならその通り。例え口車に乗せられたとしても、虚偽の見積書の準備はしたのだろう。比較衡量して、責任は〝最も〟重い

▼懲役三年求刑して来月判決が出て、司法的には一件落着となるのだろう。被告人質問で、元自治会長は市職員が「補助金を良いように使ってください」と言って虚偽の見積書や領収書を提出するよう仕向け「市職員が申請書を作成し、預けていた印鑑で判を押し、監査を通した」と陳述した

▼「市職員に責任がないとは言いにくい」とも。容疑をすべて認めたいま、裁判にとって引かれ者の小唄ほどにしか過ぎまいが、市民にとって、このことが真実だとすると、刑事被告人と行政が結託したこれ以上の反社会的事件はない

▼昨年の桑員河川漁協組合長の宅地開発業者への恐喝未遂事件も背景には県や桑名市が長年、業者に支払いを促す行政指導をしてきた。捜査当局から責任を問う声も聞こえたが、津市の場合はそれもない

▼RDF爆発事件の時、責任を問われた桑名消防署の軽い処分に、署長が県警OBであることとの関係が取りざたされた。以後、市消防署への天下りは中止された。現職警察官とOBが津市の関連部署に赴任したこととの関係はあるまいが、事件は官製談合ならぬ官製共助と言えようか。持ちつ持たれつだった。