2021年7月29日(木)

▼おや、木平芳定県教育長を久々に一面で見る、と言っては嫌みだが、県教委独自の学力調査「みえスタディ・チェック」に来年1月から全国で初めて、タブレット端末を使うという。つい最近までリモート学習は無理と言っていたのだからむろん、大いに胸を張っていい

▼学力調査終了後に端末で答え合わせができ採点、集計も自動。結果判明は早く、学級ごとの成績も分かるので授業改善も図れる。児童生徒の実力に合った難易度の問題を提供でき、学習内容を定着させられる、という。いいことずくめだ

▼北川正恭元知事が改革を嫌がる公務員体質としてその手口を紹介していた。倉庫の奥底に埋もれていたような古い規則を探し出し「このルールがあるので、できません」と言う具合。知事が代わればたちまちなびく県職員にそんな骨があるかという気もしたが県教委は、カラ出張で大揺れの県庁などを横目にその後1年以上続けていた

▼不祥事続発でも一向に改まらない。その県教委がタブレット端末は全国初で踏み切るとはずいぶん思い切ったものだが、児童生徒にとってどんな効果があるのか触れられていないのは気になる

▼リモート教育が児童生徒の精神面に問題を引き起こすことは指摘されている。文部科学省の「GIGAスクール構想」の一環だが、コロナ禍で一気に〝常識化〟した。学校教育としてどうかは別の問題。落ちこぼれを増やすことにならぬか

▼かつて落ちこぼれ対策が県の教育方針だったが、いまは学力向上。鈴木英敬知事の去就が不透明な中、国の施策に、そう真っ先に手を上げなくても。