国民民主党県連が次期衆院選で、立憲民主党の三重1―4区の出馬予定者を推薦しないと決めた。両党の合流問題から端を発し独自路線を進めてきた同県連だが、立民側から出された推薦依頼を白紙で差し戻すという結論を示したことで、長年国政や地方選において非自民、非共産で一致団結してきた「三重県方式」が崩れた格好となった。とはいえ、「支持」という形は残し、完全に決別するという事態は避けた。ただ隔てる溝は深く、残された細い糸をつないでいくことは容易ではない。
国民県連の対応で焦点となっていたのが同党支援の産別労組の意向。24日の県連役員会前に開かれた意見交換には4労組が出席。その中で一労組のみ、すでに1区と3区の候補予定者に単独で推薦を出していたため、その整合性をどう取るかという問題があった。
しかし、2労組が明確に推薦に反対し、1労組が県連の決定に従うとの意向を示し、結果「推薦しない」となった。推薦に消極的だった背景には政策の不一致や、立民と共産党との協力問題に対する拒否反応などがある。
役員会では、もともと県連内は推薦に否定的な意見が占めており、支援労組の意向とも一致して「推薦せず」と決定。その上で、自主投票とするかどうかについて、参加者の1人からは「支援も応援もしない。完全に関係をリセットすべきだ」という強硬意見が出された。
一方、自主投票に難色を示す労組も。ある労組からは「重要なのは次期衆院選の比例区。選挙区と協力することで集票の相乗効果を上げたい」との意見や、自民党との区別をつけるためにも支援や応援といった形は取るべきだとの声が出たという。その結果、「公党として何らかの意思表示はした方がいい」という意見でまとまり、「支持」という形で落ち着いたという。
ただ、産別の中でも支援や応援の形態に濃淡があるといい、立民側にとって「支持」にどれだけの効力があるかは未知数となっている。
24日の役員会後の記者会見で、金森正県連代表は「県内の長い歴史があるが、昨年9月に(合流しないという)袂を分かった経緯もあり、心情を一本化するのは大変難しいというのが実感」と吐露。県連内では穏健派の金森氏も、修復しがたい関係性に言及した。
推薦問題で、政策や共産党との関わり以外で障壁となったのが「心情」面だ。国民県連の発足に関わる問題だけでなく、2年前の参院選で国会議員から「国民民主党から支援を受けても票を減らすだけ」などと言われたことも取り上げられ、反発は県連だけでなく労組にも広がっていった。
24日の会合では、労組関係者が怒りを込めて発言した。「今回も国民民主党はどうでもいい、ほしいのは産別の支援だけだと言われたが、国民は我々が支援する政党だ」。
一方、立民の出馬予定者を支援する関係者は「決定は非常に残念だ」と語る。特に4区は新人候補予定者で、支持基盤もまだまだ脆弱(ぜいじゃく)だ。いわば過去から続くあつれきに翻弄された形となったが、4区関係者は「1票でも多くの支援をいただきたい状況の中で残念な結果だが、国民側がしっかり議論し、結論を出したことは受け止める」と捉え、「『支持』の中で最大限の支援が受けられるようにしたい」としている。