2021年7月26日(月)

▼朝令暮改を地で行く新型コロナウイルスワクチンの政府の供給見通しの中で、約20万回分が8月前半供給という鈴木英敬知事の発表はどう映ったか。さすがと安心した向きは多いのではないか

▼ワクチン量は当初から全体像があいまいで、国や県と突然連絡が途絶えたりするなど不安定な体制が目立った。知事によると、接種対象の人口比に基づく「最低保証分」108箱と、これまでの供給量や接種のペースを踏まえた「調整枠」の63箱。余裕を見込んで供給されるようではある

▼知事自身も9日に接種し、来月6日の2回目も決まっている。三重大が進める職域接種にキャンセルが出たための余剰分で、災害対策本部長の知事の接種は急きょ決まったらしいが、供給中止となった職域接種用ワクチンが、県ではそれほど切羽詰まっているわけでもないのかという気はした

▼ワクチン量については、地方は余っていると政府が主張するのに対し、とんでもないと多くの自治体が反発する。菅義偉首相が米製薬大手ファイザー社のCEOを迎賓館に招いて10月供給分の前倒しを要請した。きめの粗さは相変わらずにしても計画の当ては外れているのだろう

▼その中で県に十分の量を運ぶ知事の手腕は大いに評価されるべきだが、その一方で、より深刻とされる地域への供給は大丈夫なのか。県だけ安心安全すればいいのかと心配する向きも少数ながらいるのではないか。コロナ禍で人々のストレスは積もりに積もっている。国の強硬策、朝令暮改が拍車をかけているともいう

▼丁寧な説明はストレスの効果的解消策である。