2021年7月25日(日)

▼「日本の方は大会が始まれば歓迎してくれる」と言ったのは国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長である。情報を伝えた関係者でもいたか。実際、平成10年の長野冬季五輪はそのことを痛感させられた

▼ずさんな財政や、スピードスケートについて「水すましのようで、見ていてつまらないね」などの知事発言。冷ややかな空気の中で迎えた大会が、開始とともに熱狂に包まれた。メダル獲得が勢いを加速した。新型コロナウイルス感染拡大警戒下での開幕だが、メダルラッシュにあえば、たちまち批判、反対を吹き飛ばしてしまう気はする

▼友人、知人との会話で五輪が話題になることはなかったが、開会式を伝える報道でその兆候は感じさせた。競技に関係のない開閉会式が最も人気があり、アクロバット飛行チームのアトラクションに多くの人が集ったという。「お祭り騒ぎが好きな国民性」という評価も当たった

▼昭和39年の東京五輪でリアルタイムでテレビ観戦したのは東洋の魔女といわれた日紡貝塚チームの女子バレーだけ。以後も中継で見るのは数種の好きな競技だけで、五輪中継だらけのテレビはゲップがでる思いがしてしばらくスポーツを見るのが嫌になるのだが、少数派ではあるのだろう

▼ナチス・ドイツのユダヤ人の大量虐殺を過去やゆしたとして閉会式のショーディレクターが解任されたのは当然として、一方でナチスが国威発揚のために始めた聖火リレーは〝神聖伝説〟も加え「平和の祭典」の象徴として続いている

▼酷暑の中で、アスリートファーストの大会が始まる。