2021年7月23日(金)

▼これはまた、気が早い、と言っては東京五輪・パラリンピックで後手に回ってきた政府・組織委の感覚に毒されてしまったか。オリパラの無観客が決まったのは直前だったが、三重とこわか国体の県実行委員会競技式典専門委員会は新型コロナウイルス対策として3日も前に津市で開くライフル射撃の一部を含む3競技を無観客にすることを決めていて、同市分を21日、前葉泰幸市長が発表した

▼開催2カ月前の決定で、国のもたつきぶりを教訓にしたのかもしれない。とこわか国体・大会については県はこれまでもいくつか発信してきた。オリパラ中止なら中止か延期の方向をはじめ、東京に緊急事態宣言が出たら無観客にするなどの示唆も

▼今月に入ってからも、6日には「現時点では観客受け入れ可能」とし、受け入れ可否の基準策定を示し、13日には県内に同宣言や「まん延防止等重点措置」が発令されたら無観客も「検討する」。鈴木英敬知事は「五輪よりも厳しい基準だが、安全安心と透明性に配慮した」と胸を張った

▼それから1週間も経ないうちの津市での一部無観客決定。国がIOCとの関係やワクチンの目算違い、選挙日程など方針が二転三転したのは明らかだが、県では、何が起きているのか。なぜライフルや相撲などだけが―。県が全体を説明するのが筋というものではないか

▼鈴木知事は感染拡大を視野に県民の〝緩み〟を危惧してオリパラ観戦への自粛を呼びかけたが、選手らの事前キャンプは受け入れている。スポーツとは何か。コロナ禍で問うことは難しいが、ちぐはぐ感がつきまとう。