2021年7月21日(水)

▼「民は由らしむべし知らしむべからず」は孔子の言葉。民衆は為政者に従わせればよく、施政の詳細を説明する必要はないの意。法で従わせることはできても、道理を理解させることは難しい、の解釈も

▼政策を理解させるのはさほどに困難で、単に為政者と人民との立場の違いを説いたものともいわれる。県が新たな措置を検討するとした新規コロナウイルス感染者「2日連続で17人以上」基準が16、17日に超えたが、鈴木英敬知事は記者会見で「直ちに強い措置を講じる状況ではない」

▼一方で「気を緩める状況にはない」。どっちなのか。第4波の行方にかたずをのむ県民の心など、なるほど為政者には分かりゃしないという気はする

▼「直ちに強い措置を講じる状況ではない」は何度か聞いた。飲食店への営業時間短縮要請も効果に否定的だったが、直後に第3波への緊急警戒宣言を発令し、その途中でまん延防止等重点措置の要請へ。あれよ、あれよだった

▼重症者用病床の使用率が24・5%。1カ月前の約4倍というのが宣言の理由とされた。今回の措置見送りも、病床使用率17・7%の低水準が理由。いつも「病床使用率」が措置に決め手として登場してくるが、何だが後出しじゃんけんの感が否めない

▼ワクチン接種は、不安をかき立てるネット情報を信じず、県や国の情報の活用を求めた。方針変更と謝罪が相次ぐ県や国の情報では本当に知りたいことが知られないからネット情報がはびこる

▼県民にとって「知らしむべからず」の状況。知事は「注視し検討」というが、功を奏した結果やいずこ―。