伊勢新聞

2021年7月19日(月)

▼夏休みが対象だからということではあろうが、東海三県の知事は東京五輪・パラリンピック開催地域へ移動することについて「特に慎重な行動」を県民に求めた。とこわか国体・大会の観客は「現時点では可能とする方向」すなわち移動促進にくみする方針と矛盾する気もするが、緊急警戒宣言発令になった場合は無観客とのただし書きはある。手抜かりはないということだろう

▼準備を進めながら、宣言を出して無観客に切り替えるなどができるものか。東京五輪の経緯を見ると難しそうで、鈴木英敬知事の言動を見ても、懸念は強まる。11人が感染した15日、知事は新たな措置について「直ちに講じる状況ではない」と語った。過去3波でぎりぎりまで繰り返されてきた言葉だ

▼22人が感染した6月25日、知事は翌日も17人以上なら飲食店への営業時短要請を検討すると語った。17人を基準とする説明のないまま、2日間各17人がルール化され、7月13日10件、14日33件、15日10件と2ケタが続いても措置の動きはなかった

▼翌16日は20件、17日は33件と17人ルールを超えた。今度も直ちに措置を講じないのは、まず検討をスタートさせてからということか。18日は10人。むろん日曜日ということを考慮せねばなるまい

▼知事によると、安心の裏づけとなるワクチン接種率は全国平均を上回るが、第4波の気配。ワクチン供給停止の影響はあるのかないのか。国体に間に合わない可能性も。マスクや手洗い、消毒を県民は徹底している。慎重と言いながら移動を促すのは誰だ。