▼「全ての学校への周知が不十分で、校内で従来の指導が継続していた。生徒に申し訳ない」―髪型や下着の色などの校則を4月から削除したはずが一部県立高で継続していることが判明した6月、県教委の木平芳定教育長はそう陳謝した
▼またか、という気がするが、耳の上や襟足を刈り上げる「ツーブロック」と呼ばれる髪型の禁止などを指導していたのが6校。その後この15日までの調査で倍の12校へ。県教委としては特に珍しいことではない
▼続けていたのは「配慮が必要な生徒を事前に把握し、適切な指導につなげようとしていた」からで「身体的な特徴について申告を求めるのは人権上問題がある」ので、各校に改善を求めるという。適切な指導のために必要な規則だが、昨今の人権意識の高まりで削除したと言わんばかり
▼ツーブロックは昭和30年代初め、太陽族の元祖、元東京都知事の石原慎太郎氏やその弟の石原裕次郎の髪型、慎太郎刈り、裕ちゃんカットを思わせる。当時も不良のレッテルを張られたが、日本中の若者に広がった。教育界幹部も覚えがあるのではないか
▼髪型の感覚が60年、変わっていないとすると退屈な話である。髪色や癖毛などを調べるというのも、国際人を育てる中で何と時代遅れのことか。また外国人差別などと言われなければいいが。前髪は眉毛より上の校則はどうなったか。知人は額が狭くすぐ眉毛を超え、生活指導教諭に目を付けられ、職員室に毎日通うように命じられたという
▼ツーブロックがなぜ悪いか。記者会見で問われた木平教育長が答えに詰まっていた。