▼志摩市立中3年の男子生徒が一昨年7月自殺した問題で、市の第三者機関であるいじめ問題再調査委員会が調査報告書をまとめた。「いじめ」が不登校につながったとしながらも、その後の自殺との因果関係はなかったと結論づけた
▼男子生徒は1年生の3学期にノートを忘れ、担任に報告するよう別の生徒から複数回指摘されて不登校状態となった。たまに登校してもほとんどは別室で1人で自習。登校日数は同学期8日間、2年生26日間、3年生は亡くなる前日までの17日間
▼市教委が一昨年7月、弁護士や大学関係者らを委員とする第三者委「子ども重大事態調査委」(委員4人)を設立し、その後組織替えし、昨年7月、調査報告書をまとめたが、遺族から「掘り下げが不十分」と指摘され、委員を入れ替えた「再調査委」で再調査してきた
▼調査報告書はいじめと不登校の関係を認めながら、自殺との因果関係は認めなかった。不登校がなくても自殺は防げなかったということか。ある状態に導いた原因は認めるが、その状態から次の行動を起こさせた理由と最初の原因とは無関係というのは分かりにくい論理学だ
▼自殺は複数の要因で引き起こされることは多い。また、たくさんの理由があっても一つの救いで思いとどまることもよく知られる。報告は「年齢相応の対人関係への不安感、再登校を望む家族の期待に応えられない強い自責感や絶望感」などからの「衝動的自死」と結論づける
▼だからといって不登校の原因を見極められず、登校日にも漫然と自習をさせた学校の責任が軽くなるわけでもない。