伊勢新聞

<まる見えリポート>松阪市議選 旧町候補と投票率が減

任期満了(7月31日)に伴う三重県の松阪市議会議員選挙(定数27)は同18日告示、同25日投開票される。現職23人、新人8人の計31人が立候補を準備し、1人が熟慮している。1市4町合併前の旧町からの立候補予定者は前回の7人から4人に減った。投票率は前回46・98%に落ち込み、どこまで回復できるか注目される。

同市は旧松阪市と旧嬉野・三雲・飯南・飯高の4町が平成17年に合併。同25年の改選時に定数を30人から28人へ減らした。有権者数は先月1日現在、13万3646人。

立候補予定者31人のうち旧町は12・9%の4人。前回は立候補者32人のうち21・8%の7人だったので10ポイント近く減った。

現職23人のうち合併前の旧市町議は4人。内訳は嬉野2人、三雲1人、飯南1人、飯高ゼロ。新人で旧町はいない。

市議会が設置した第三者機関「議員定数のあり方調査会」は平成28年、「合併された旧町域からも議員が選出されることが望ましい」「(定数を)現行より削減した場合にはそうした旧町域からの選出が困難になる」として、現行定数を「妥当」とする意見書を議長に提出したが、立候補がなければ地域代表を送れない。

西村友志議長は「地元代表は重要。地域の票数が少なくても、機運があれば出せる」としつつ、「地元から出なくても市議は市全体を把握し、同じように発展させる使命があり、地域をおろそかにしない」と語る。

前回のトップ当選は西村議長の3091票で唯一、3千票を超えた。最下位の松本一孝氏は1016票で、次点は981票。今回も投票率が低調なら当落ラインは1000票台弱か。

新人8人のうち女性が半数を占める。最高齢は野呂一男氏(77)、最年少は森遥香氏(32)。

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前回初当選した田中正浩氏は、自治会集会所改築で過大な補助金支出があったとして、同市議会初の百条委員会設置を招いた。失点の影響が注視される。

自治会は工事に971万円かかったとして補助金の交付を申請し、市は480万円を助成したが、実際の工事代は845万円で済んだ。

地元男性の住民監査請求を受け、市監査委員は是正措置を勧告。市は自治会に本来の補助額との差額分に利息を上乗せした85万円の返還を命じた。

百条委は当時の自治会長だった田中市議らを証人に呼び、調査。海住恒幸委員長は平成31年3月の市議会本会議で最終報告し、「虚偽の実績報告書と領収書を提出し、過大な補助金を受け取ったことについては、不正と言わざるを得ない」と断定した。

田中氏について「『当時はもう出してしまったら、それしか出ないと思っておったもんで、変更はきかないという意識はありました』との発言もあれば、『とりあえず高い方の見積もりで出してください。あとは修正がきくと思いましたので、それでええと思いました』とも証言している」と指摘し、「無責任で不誠実と言わざるを得ない」と述べている。

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平成29年の前回は投票率46・98%。前々回から14・73ポイント落ち込み、補欠選挙を除き最低を記録した。ただ、ダブルスコアで現職が再選した令和元年9月の市長選はもっと低く、38・28%にとどまった。

市選挙管理委員会の荒井正裕委員長は「前回随分下がった。問題意識を持っている。若年層の投票率を上げたい」と話す。

若者を意識して同市ブランド大使の双子モデル「りかりこ」さんを起用した啓発ポスター2千枚を用意した。新たにインターネットへのターゲティング広告を今月5日から実施。投票日は高校生の録音を使い、広報車で投票を呼び掛ける。

コロナ対策として期日前投票所9カ所のうち本庁など6カ所に「混雑ランプ」を設置。職員が混み具合を赤、黄、青で判断し、スマートフォンへ知らせる。投票所では使い捨ての鉛筆を配る。

コロナ下の夏の選挙戦について西村議長は「コロナで集会や演説会は難しく、街頭演説が中心。真夏の選挙はつらい。熱中症に気を付けたい」と熱い戦いを見通した。