伊勢新聞

2021年7月3日(土)

▼「いうなれば手付けだけ払って残金を帳消しにするようなもの」というような趣旨で反対討論をしたのは津市議会の村主英明市議である。前葉泰幸市長の給与2カ月分返上の条例改正案審議で、職員の逮捕者も出した自治会問題について、職員の処分も、顧問弁護士が作成した調査報告書の真偽も、何もかも審議中であり、これからという中で、市長らだけが蚊帳の外になっていいのかというのである

▼市長は給与返上について「職員に問題となる行為や、行き過ぎた行為があった」ためとするだけで、その性格を明確にしていない。「最終報告書で、市長の責任について指摘があった」とは言ったが、だから給与を返上して責任を取るのだと声を大にしていない。「処分ではない」と言っているともいう

▼責任を取ることと処分は違うということか。議会百条委に招致され「市長としての責任を免れようという意図では申し上げていない。大きく責任を感じている」と語った。調査が始まる前から幹部の関与を把握していたか問われ「その時点では承知していなかった」と答えたのに続けた

▼その2日後に最終調査報告書が出て同日、給与返上を明らかにした。手拍子で物事が進み、大きく痛感した責任をどう反映させればいいか、熟考した時間は感じられない

▼承知していない内容はもうなくなったのかどうか。捜査の進展はもうないと確信しているのか。百条委では、昇格者が元自治会長に礼金を持参するなど、人事介入疑惑も出てきた。2カ月の給与返上で早々責任問題から抜けるというのでは、確かに虫が良すぎる。