伊勢新聞

2021年7月1日(木)

▼国勢調査の速報値で、決めたばかりの県議会議員定数条例について再び秋に議論することにしたことと、県議会常任委員会が付託議案を別の委員会で採決していてやり直すことになったこととは何の関係もない

▼定数を議論した国勢調査の人口と、秋に確定値がでる国勢調査の25日の速報値では、伊賀市と四日市市の法定定数が逆転現象を起こしてしまった。結果論という見方は当然あろうが、条例議決に「拙速批判」があり、中でも「国勢調査の結果を待って」という主張は有力だった

▼議決わずか1カ月後に反対論が懸念した通りになった。やり直すかどうかは確定値まで先送りしたが、こうなっては条例のまま押し通すことはできまい。周知期間を十分取るためという〝拙速〟理由も、見事に空振りしたことになる

▼一方、採決を誤ったのは予算決算常任委の環境生活農林水産分科会。環境生活農林水産常任委の議案を全員大まじめで「可決すべき」と挙手したのだからテリー伊藤氏なら「お笑い三重県議会」の一冊をものにしたかもしれない。2つの組織は名前も似ているが構成メンバーも同じ。素人には違いが分かりにくいが、事務局職員もどちらで審議すべき議案か「勘違い」したという

▼県では常態化している単純な事務作業ミスで、議論を尽くした定数条例とはまったくの別。定数条例は大まじめで議論して決定したのを、議論の末に元に戻し、再び大まじめで議論して決定したのをまた手直しするかどうかで議論しなければならない。「お笑い県議会」なら、項目立てで仲良く肩を並べるかもしれない。