伊勢新聞

2021年6月30日(水)

▼県ホームページの「県民の声」欄に外国人に対する差別的表現を含む意見が長期間放置され、指摘されて早々に陳謝・閉鎖し「人権への配慮に欠けると思われる表現に関するガイドライン」を策定したのは平成30年8月

▼今度は県警から頼まれて載せた外国人不法就労啓発のイラストが「悪意がある」外国人差別だとネットで炎上し早々削除した。掲載に慎重な声も庁内にあったが「県警の判断」として掲載したという。「根拠の有無に関わらず、他者の社会的評価を低下させるような表現」「差別的あるいは差別を助長すると思われるもの」などが掲載不適としたガイドラインは「県民の声用」とでも言うのだろうか

▼県警が「(批判は)想定外だった」と言っているのに対し、県には差別助長を懸念する議論もあったというから、わずかな慰めか。救いのなさでもあるか。イラストは、無資格の外国人1人と、資格とは別の職業に就いている2人の計3人を描いているが、3人とも肌は灰色、目は黄色。表情は笑っているらしいが、不気味な笑いと言えよう。県警が不法就労外国人に抱くイメージを表している

▼留学資格者が肌を露出したドレスを着る女性で、調理師資格者が工事現場作業員服の男性。職業差別意識も感じられ、「不審者」例として拡散させてもいる。県は「県警の判断」でなかったら掲載したかどうか。責任の所在を何より気にする県らしくはあり、外国人差別の「県民の声」を放置した3年前と意識はそれほど変わっていない気がする

▼〝権力者には弱くて〟と今ごろ頭をかいているかもしれない。