▼「コロナで何もかも悪くなるわけではない」という話を聞く。仕事など経済面でもそうだが、家族のあり方の変化など、心温まる話題は多い
▼県雇用経済部も、そんな思いをかみしめているかもしれない。令和2年度の首都圏営業拠点「三重テラス」の利用者数がついに前年度比13万2千人もの減で7万6千人となったが、県議会から特に責任追及の声はあがらなかったのだから。「休館が続いたことに加え、周辺で在宅勤務が進んで人通りが減ったことが影響した」の説明が効いているとみえる。こちらは、心に冷たい風が吹き抜ける
▼コロナは社会のひずみを直撃したといわれる。平成25年オープンした三重テラスは伊勢志摩サミットの28年度、74万人余の利用者を記録したが、以後減少の一途で、前年度を下回る目標を設定する〝禁じ手〟で乗り切ろうとしたが、達成できなくなった。サミットを起爆剤にするどころかレガシー(遺産)を年々食いつぶし、コロナがとどめを刺した格好
▼低減期に「量から質への転換」を言いだし、魅力体験者数やファンクラブ員数など、利用者数以外の評価基準を作って取り繕うとした試みも粉砕してしまった。令和元年11月に議会から撤退を提言され、当時の村上亘雇用経済部長は「機能を進化させ、実績を伸ばす努力をする」。2年10月は島上聖司同部長が「私も大ファン。関係者の意見を聞いて改善点や効果を検証したい」
▼この3月議会になって存続の可否を含め今後の方向性を決める方針を明らかにした。責任はコロナにあり。コロナさま、さまであろう。