伊勢新聞

2021年6月21日(月)

▼19日の新しい新型コロナウイルス感染者は4人で、20日も維持した。ほっとする気持ちを抑えられない。鈴木英敬知事の「感染は着実に減少」という分析に素直にうなずく自分がいる。1人の発生にも近づくコロナの足音を聞き、不安で胸がいっぱいになった昨年の3月ごろとは大違い。気持ちの持ち方というものについて考えてみたくなる

▼まん延防止等重点措置が20日終了。「人の移動を抑えきれず新たな波につながったことを教訓に」30日までを「リバウンド阻止重点期間」とし「感染を抑え込む」と知事は言う。「短期間で抑え込む」とした4月19日の緊急警戒宣言から約2か月かかった減少の兆しである。楽観主義の知事も悲観主義に目を向ける気になったのかもしれない

▼リバウンド阻止重点期間のメッセージでは「人の移動を抑えきれず」という「教訓」は「第3波、第4波において年末や年度末における」という言葉に続けられている。当時は第3波をなかなか認めようとしなかった。GOTOキャンペーンのアクセルを踏んでいたこともその理由の一つだったのだろう。人の移動を促す側にもいたことは間違いない。「教訓」は「反省」という言葉にも置き換えられよう

▼第4波では、飲食店への営業時間短縮の必要性をなかなか認めようとしなかった。宣言発令とともに手のひらを返したように「時短要請」を柱にした。その戸惑いが宣言効果を遅らせたのではないかと今にして思い至る。ウイルス相手に楽観主義はいかに危険で通用しないかも知事は教訓として県民に浸透させねばなるまい。