伊勢新聞

2021年6月15日(火)

▼「教職員の負担を軽減するため学校の部活動で休日の指導を地域に移行させる取り組みが暫定的に進んでいる」という舘直人県議の質問が、先の県議会で違和感なく進んだ。本年度に実践研究に入り「休日は地域のスポーツ団体に指導してもらう」と木平芳定教育長が淡々と答える。うち中学校1校は「総合型クラブと連携する」という

▼過度な練習で生徒がスポーツ障害を発症、顧問教員の時間外労働増で生徒と向き合う時間を確保できない―などとして県教委が「部活動ガイドライン」を改定したのは平成31年3月。目玉が「休養日の設定」だった

▼「特に、中学校の時期は」という。「『ポストゴールデンエイジ』と言われ、呼吸器や循環器系が発達する頃といわれます。発育・発達過程にある不安定な時期には、オーバーワークにならないよう配慮することが大切」とし、週2日の休日(うち1日は土日曜日)を指導した

▼現場の関係者から不満の声が上がった。土日は対外試合が多く、部員のモチベーションにかかわるというのが代表的主張だったが、「生徒の健全な成長や教員の負担軽減にとって有益」と押し切った

▼「生徒の健康や安全」が強調され、教員の負担軽減は付け足しの記述ぶり。教員の負担軽減で主に言及されたのは外部指導員の検討で、技術向上策が総合型地域スポーツクラブ導入だった。「休日の外部指導」は教員の負担軽減だけ維持。生徒の健全な成長がふるい落とされ、技術向上策が加わって過度な練習が促進される格好

▼「部活動ガイドライン」策定の、これぞ県教委の深慮遠謀か。