伊勢新聞

2021年6月8日(火)

▼東京五輪のレスリング女子68キロ級に出場する土性沙羅選手の激励会が出身地松阪市の市役所で開かれた。本人はオンライン参加。実際に会場に出席したのは竹上真人市長ら3人で「勇気と感動でみんなが元気になるような活躍を」と励まし、土性選手は「もう一度金メダルを取れるように頑張りたい」と決意表明した

▼市民への街頭インタビューでは「コロナで大変ですが、思い切り頑張ってください」「全てを出し切って」など励ましの言葉が並んだ。県では初めての五輪出場選手激励会だが、全国的には始まっていよう。東京オリパラ中止の決断など果たしてできることなのかどうか

▼汚染水のアンダーコントロールなどとてもとてもだし、復興五輪というキャッチフレーズも色あせてきたが、コロナを理由に昨年延期してからずるずると〝決断〟なるものが先送りされ、逆風相次ぐ中で一向に動じる気配はない

▼多額の投資を惜しみ、損害が分かっても事業中止ができないことをコンコルド効果という。責任をとらされたくない人間特有の行動心理ともいうが、オリパラ中止では投資分以外に2千億円余の収入が吹っ飛ぶ。賠償額が天文学的数字ともいう

▼世論調査で8割が五輪反対というが、中止の主張は5割程度。差し引き3割は何もやめなくてもと思っている。よく言われることだが、走り出したら止める決断ができないのは、政府や軍部だけではない

▼県はとこわか国体・大会の半年前から開催の可否を検討し、1カ月ごとに公表しているという。この2日、現時点では開催方針と明らかにした。そりゃそうだ。