▼津市の補助金詐取疑いで同市の自治会長が逮捕されてから10日後の知事会見で津市政について聞かれ、鈴木英敬知事は開口一番「まずそもそも僕自身は報道ベースなどでのお話しか聞いておりませんので」。関心がないということか、何かの予防線を張ったか
▼県発注工事に絡む不当要求の根絶に向け、関係機関でつくる「不当要求防止協議会」が3日発足した。紛らわしいが「不当要求」というのは津市自治会問題でのことではない。県発注工事を巡る恐喝事件で、逮捕された桑員河川漁協元組合長から、県も〝不当な要求〟を受け行政をねじ曲げさせられたからという発想のようである
▼県民や議会に、結果的に〝虚偽説明・答弁〟を繰り返し〝隠ぺい〟に加担した県土整備部理事が会長だという。こちらは失敗の経験を生かすということか
▼津市自治会問題では毅然とした姿勢をとがめられて元自治会長に陳謝した県職員もいた。「不当要求には毅然とした対応で臨み」と担当理事。守られていなかったということだろう
▼始めは行政へのクレームだったと津市の調査報告書。当たっていることでつけ込まれた。ミスを犯した公務員は市、県、国を問わず以後の対応が腰砕けになり、無理難題でも受け入れるようになるのは多く目にした。ルールの抜け穴をすり抜けるずぶとさ、巧みさには舌を巻いた
▼開発業者が支払った協力金の存在を「知らない」と言い続け、一転「不当要求」と県が言い出したのは元漁協組合長が逮捕されてから10カ月後。その後の調査報告もない。砂上の楼閣がまた一つ、建てられる気がする。