▼特定の自治会に市職員が便宜を図っていた問題の再発防止策で三重県津市の前葉泰幸市長肝いりの「内部統制室」が、看板の現役警察官の室長就任が間に合わず、空席のままスタートする。仏作って魂れずで、出だしからつまずいた格好だが、魂などなくても仏像を据えるのに意味があるということかもしれない
▼脱法行為に歯止めが利かなくなる職員を正す〝内部統制〟のためか、執よう、強硬な苦情を持ち込む市民を〝威嚇〟し〝排除〟するためか。市長の説明ではどちらか分からぬ組織だが、津市は以前にも行政介入勢力に対抗するため警察OBを採用したことがある
▼RDF(ごみ固形燃料)貯蔵庫爆発事故で、取り調べた警察と取り調べられた消防署との関係に疑惑が持たれるまでは、県警幹部が市消防長に就任する例が多く、市三役に転じることもあった。任命権が市長か、出身の県警かも伏魔殿で、かつて県警内の競争余波で県警OBの消防長を別のOBに代えようとした鈴鹿市は「任命権は市長でも自分は県警の指示で来ている。県警から言われていないのに退くわけにはいかない」と抵抗され、断念している
▼県でも経済産業省の都合で同省派遣の雇用経済部長就任が県史上初めて遅れたのは記憶に新しいが、市長直轄としながら、県警の都合で人事が左右されるのは市長にとっても願ったりかもしれない。何かあったら組織的に〝威嚇〟してくれよう
▼他部門への〝応援〟という形で市は職員を移動させ、元自治会長の人事介入を受け入れていた。人事に影響力のある勢力に県警が加わったことは違いあるまい。