伊勢新聞

2021年5月26日(水)

▼市政史上初めて市長として津市議会百条委に証人尋問された前葉泰幸市長は「市長としての責任を免れようという意図では申し上げていない」と言った。元自治会長が補助金搾取したとされる問題で、幹部職員の関与を市の調査チーム設置以前に把握していたかを問われ「その時点では承知していなかった」と答えた後の発言

▼「そんなはずがあるか」という議場内外からの市民の声が脳裏に響き渡ったか。聞かれてはいないが、言わずにいられなかったということだろう。さらに「大きく責任を感じている」と続けたのも、責任逃れの批判を重ねて打ち消したかった気持ちの表れと見える。証言しながら、後ろめたさと戦っていたのかも知れない

▼元自治会長の知人女性に対するバレンタインデー返礼のプレゼントを、これまで3回贈っていたことを明らかにした。最終は昨年3月か。その直前、市と知人女性の経営するスナックや小料理店との関係は大きく動いた

▼市職員が参加費を払って従業員のように働くスナックでのホワイトデーパーティーや誕生会、忘年会について一昨年9月、市人権担当理事の申し入れで職員があからさまに関与する形態は中止された。そのため来客の減少に悩んだ元自治会長の申し入れで昨年2月、一部復活した

▼市長のプレゼントはその直後である。市職員が元自治会長の手助けをせざるを得ないように自身が背中を押していたという懸念を消すことはできまい。「常軌を逸脱」というのは市とスナックとの関係についての調査報告である。こちらは、市長も「知らなかった」と言えまい。