▼三重4区選出の三ツ矢憲生衆院議員の引退報道が流れる中で、鈴木英敬知事が「大変に驚いた。政界から身を引かれることを残念に思う」。写真で見る限り、久々に表情から焦燥感が消え、力がみなぎっている印象を受けたのは、知事にとって迷惑なことだったに違いない
▼「腰痛の再発」という引退理由が同世代の共感を呼ぶのではないか。何らかの体調の変化を自覚しない方が少ない世代であり、中でも腰痛は上位にランクされる。「再発」ということはずっと小康状態だったということか
▼政治家の健康情報は秘中の秘で、実態を知るのは難しい。北川正恭元知事が衆院議員時代、消息が絶えてさまざまな臆測が飛び交ったことがある。突然、県庁の記者室に現れ、メニエル病で入院していたことを明らかにした上で「よみがえる北川正恭」と派手にアピールして去った
▼「選挙が近づくと元気になるのが政治家」という話もよく聞き、目にもした。山本佐知子県議の祖父幸雄・元国家公安委員長は落選中、地域で首長選挙や議員選挙があると、どうして自分に出馬の打診がないのかいらだったという。「そんな選挙の話を持ち込めるはずがない」と元秘書が落選議員のあせりとして教えてくれたが、血が騒いだのかもしれない
▼伊藤忠治衆院議員を嫌う他紙の先輩記者がいた。何度か取材し、好漢だったので不思議に思って理由を聞いたら、前職の死去に伴う後継決定の席で、指名された瞬間、下を向いてニヤリと笑ったのが気に入らないという
▼そう見えただけかもしれない。人に見られる職業というのは大変だ。