▼県議会の正副議長選は事実上の信任投票となったようだが、選挙立候補していない県議の得票や白票などの無効票もこれまでにないほど出て、出席した50人での選挙結果は議長候補の青木謙順氏が40票、副議長候補の稲垣昭義氏が42票でそれぞれ当選。今後の運営に暗雲を残した
▼終盤を騒がした同性カップルの住所無断公開問題は、議員の人権意識を高める決議案を全会一致で可決し、一応の決着をつけた。問題を「県民のプライバシー侵害や誹謗(ひぼう)中傷が発生した」と性格付けし「県民が公選職にある者に自由に意見を述べることを萎縮させた」と断じ各議員が人権意識の高揚に努めると明記した
▼どう「努める」かがこれからの課題か。議会役員選出の中で、騒動を起こした小林貴虎議員が環境生活農林水産常任委員会の委員になったことはそのことと整合するのかどうか。同委は、本人の了解を得ずに性的指向などを暴露する「アウティング」の禁止を都道府県で初めて盛り込んだ「性の多様性条例」を担当する環境生活部を所管する。騒動で差別解消を目指す条例検討調査特別委員会の委員を辞退したこととの間で違和感を覚えるのだ
▼差別解消特別委は新型コロナ感染に伴う差別解消を視野に性差別を含む様々な問題を調査検討する。当事者らを参考人聴取し意見交換するなど、研修的意義も大きい。小林県議は県議会代表者会議で自身の行為を謝罪する一方「どの辺りが人権侵害なのかよく分からない」と発言した
▼「性の多様性条例」の審査より差別解消特別委の経験の方が決議の趣旨に沿う気がする。