伊勢新聞

2021年5月18日(火)

▼県議会の選挙区・定数問題が決着した経緯を詳報した本紙『まる見えリポート』の最後が「次期県議選までの対応が注目される」だった。まだまだ一波乱、二波乱ありそうですよと言っているようで苦笑させられる

▼ぎりぎりまで議論を引っ張り、疲労が極まってもう話すのも嫌だという段階で決着に持ち込み選挙戦へというのが昔のパターンだったが、最近は気力満々のうちに「スピード採決」するのが流儀らしい。今の正副議長で片をつけ、次期に持ち越したくないという思惑も働いたようだが、まとめ役の方が根気が続かなくなっているのかもしれない

▼本音がSNSで議会外に拡散されるというのも当世風というものだろう。決着に至る攻防で「少数意見の尊重と駄々っ子は違う」と題したコメントを発信したのが第一会派新政みえの代表で、次期副議長に立候補する県議というのが、特別でも何でもないことを物語る

▼少数意見の尊重と駄々っ子の違いはともかく、「駄々っ子」自体は県議を表す〝言葉〟として昔から県職員の間でよく使われてきた。へそを曲げて横を向いたら始末に悪いというのである。理由はほとんどがメンツなど個人的なことで、正論など無視され議案通過を徹底的に邪魔される。昔の県職員は「泣く子と地頭には勝てぬ」と嘆いた

▼「駄々っ子」も泣きわめくものに違いない。「価値観が違うあまりにも失礼な常識外れの人たち」という発信者の解説に、言われた方は「あまりにひどいコメントだ」。ちっとも変わらないなあと根回しに奔走した県職員OBらも苦笑しているかもしれない。