伊勢新聞

2021年5月9日(日)

▼7日の新型コロナウイルス新規感染者は54人で、市町別では津市の19人が四日市市の7人の3倍弱に達し最多。その7日、鈴木英敬知事は9日から国の「まん延防止等重点措置」の対象になるとして北勢と伊賀地域の12市町を実施区域に決めたと発表した。津市は対象外

▼愛知県や大阪府への通勤者が多いための選定という。直近2週間の人口10万人当たり感染者数が15人以上なのだとも。なるほどという気はするが、感染力が強く、変化が激しいウイルスに立ち向かうにしては、いつもながらチグハグ感は否めない

▼「病床使用率が厳しく、変異株の割合が高い」が国の指定理由ともいうが、北勢、伊賀に限ったことかどうか。人口10万人当たり感染者数15人以上というのも、県のホームページでは県全体の数字。ただ、掲載されているのは「直近1週間」。「2週間」というとまた別で、県民に知らせるには何か重大な差し障りがあるのかもしれない

▼県独自の緊急警戒宣言は予定通り11日で終了する。延長も示唆していたが、「まん延防止」に指定されない場合を想定しての話だったらしい。過去3回の中で最も効果が見えない宣言だったが、経験の蓄積が効果と反比例した理由について、しっかり検証してもらいたい

▼前回の国の緊急事態宣言が解除されたのは、国民のマンネリ感で継続しても効果が期待できないためだった。メリハリは心の緊張を維持するのに何より大切な要素だが、2日間重なってバトンタッチでもするかのような警戒宣言からまん延防止措置へ。なにとぞうまくいきますように。