伊勢新聞

2021年5月3日(月)

▼5月の始まり早々北中部を襲った激しい雷は夏の前触れか。季節外れの春雷か。呼応するかのような新型コロナウイルス感染症対策協議会の方針転換である。軽症者や無症状者の自宅療養を開始するという。いよいよかという気持ちにさせられる

▼病床占有率は55・6%で、危険水準の6割に迫った。この時のために確保したはずの宿泊療養施設も足りなくなる恐れが現実になってきたということだろう。感染症対策の強化で一般医療の制限も緊急方針に盛り込むなど緊張感は増す

▼状況がよく分からぬことが不安感を募らせもする。鈴木英敬知事はこのところ「変異株が猛烈に影響を及ぼし」というが、知らされるのは感染者数だけで、1日に判明した49人とは別で5人。過去の感染者を検査した数字というから「猛烈」の意味がピンとこない。「医療機関にも受け入れ体制の強化をお願い」というのも、受け入れ体制に余裕があることが前提に聞こえる

▼「まん延防止等重点措置」の適用について、知事は西村康稔経済再生担当相との電話会談で正式に要請したと発表した。「連携を確認」できたと喜び、「悪化した場合の対応も確認」した。適用はすぐではなく、状況を分析してからで「連休前ではない可能性も」

▼加藤勝信官房長官は会見で「西村担当相が両県(三重、岐阜)知事から要請を行う意向を伺った」。正式な要請ではなく、「必要があれば専門家の意見を聞き、機動的かつ速やかに対応」

▼ずいぶん違う。知事がそのつもりになっていることと食い違うのは、県民への情報の開示だけではないようだ。