伊勢新聞

<まる見えリポート>津署・刑事第一課長に初の女性就任「安全なまちに」意気込み

【「自分らしさを失わず、常に高みを目指したい」と話す景井刑事第一課長=津署の刑事課で】

今春、強盗や殺人などの凶悪犯罪や性犯罪、暴行事件などを捜査する三重県警津署の刑事第一課長に、景井薫警部(47)が就任した。女性の刑事第一課長は、県警では初めて。景井課長は「安全に生活してもらえるまちにしたい」と意気込み、県民の安全を守るために日々奔走している。(越智浩子)
津市出身。「人の役に立ちたい」と考え、地元の高校を卒業後、平成四年に採用され、警察官になった。初任地は鳥羽署。その後、津南署に配属され、現在は活動を休止している「カラーガード」に所属し、駅伝特別訓練生としても活動した。

21歳のとき、刑事の捜査方法などを学ぶ刑事任用選考(現在は廃止)を受けて合格し、刑事になった。昔は夜間に発生した事件捜査で一人だけ呼び出しがなかったことがあり、「落ち込むこともあった」と言う。それでも「与えられたところで何ができるかを考えてきた」と振り返る。

県警捜査第一課では6年間、性犯罪捜査係で性犯罪の捜査を担当した。被害に遭った女性たちに寄り添った捜査ができていたのかと、今も思い返すという。「人に言いたくないことを、見ず知らずの警察官に話すことは心の負担だと思う。この人だったら話してもいいと思ってもらえるような人間でありたい」と話す。

県警広報課や警察学校の教官、名張署などを経て、昨年11月に津署の生活安全課長に就任。今年3月29日付で同署の刑事第一課長に就いた。同課では、20代から50代までの部下21人を率い、捜査の指揮と業務管理に当たる。「困っている人を助け、悪を許さない」という同じ目標に向かい、連帯感があるという。

プライベートでは23歳で職場結婚し、25歳で長女を出産。仕事で忙しく「両親やママ友に助けてもらい、(長女を)大きくしてもらった」と感謝する。子育ての経験などから、「被害に遭った方が、自分の家族や子どもだったら警察にどうしてほしいか常に考えるようにしている」と語る。

育児休暇が3年取得できたり、当直が免除になったりと、以前より働きやすい環境になっており、「これから家庭を持つ、あるいは持っている職員の良いモデルになれれば」と話す。

同署の堀井達也副署長は「持ち前の明るさで部下を引っ張ってほしい。職員が課長や幹部職員になりたいと思うような活躍をしてもらいたい」と期待を寄せる。

県警警務課によると、現在、警察官3079人中、女性の割合は365人(11・7%)。県警は、令和7年4月までに女性の割合を14%まで引き上げることを目標としている。女性の採用は年々増えており、今年の採用は84人中、女性が20人(23・8%)で、今後ますます活躍が期待される。

佐野朋毅本部長は女性警察官の活躍について、先月下旬の定例記者会見で「人の評価や昇任などは男性、女性よりも能力で判断したい。警察は男社会で何年もやってきたのですぐにとはいかないが、これまで培った組織文化などを少しずつ改善し、男性や女性を気にしない社会が理想と思う」と話した。